人格交換の殺人

人格転移の殺人 (講談社文庫)

人格転移の殺人 (講談社文庫)

謎の装置の作用で、たまたま居合わせた数名の男女の人格がそれぞれ別人の体に入ってしまい、しかもそれで終わりではなくてまたさらに別の人の体に移ってしまう・・・フルーツバスケットをやる時みたいに輪に並べられた椅子を身体、そこに座ってる人を人格と考えると、「せーの」で1個ずつ人が隣の椅子に移っていくって感じですね。
設定がおもしろく、楽しく読めました。
しかし森さんの解説がやたらと自己主張が強くて、それを読むのにすごく時間がかかってしまいました。褒めつつもやんわり「この話の条件ってちゃんと閉じてないよね」みたいな指摘もしてるのかなと思うんですが、この話で「宇宙人が作ったものらしい」といっているのは何もほんとに宇宙人が作ったといってるわけではなくて「理由は説明しないがとにかくこの話ではこの設定で進めるから!」という表明でしかないんだから、それを宇宙も科学の法則に則ってるとかなんとかいうのは話がずれてると思うんだけど。科学者として色々想像力を喚起させられる設定だろうし、森さん的に見たらこうですよというのを知れて楽しかった人もいるでしょうが、なんだかなぁと。まぁ科学者じゃなくても推理の過程で「じゃあこれまでに書かれてないこういう条件の時はどうなるのよ?」みたいな疑問がわいたときに作者ルールが明かされるまでどうにもできないってことでちょっとフェアじゃないなって感じもするにはしましたけども。
以下ネタバレあり。
 
 
 

最初の殺人の動機が、どうもしっくりこないんだよね。。あれ要るのかなぁ。とっぴ過ぎる気がするなぁ。
そして単に謎解きとして楽しみたいので、綾子のあのエピソードはまるっとけずって、もっと単純な動機でよかった気がするけどなぁ。あのずれは面白いからあったほうがいいんだろうけど。。。