145gの孤独

145gの孤独 (角川文庫)

145gの孤独 (角川文庫)

超 苦 手…。
主人公のことが全然好きになれない。
えーと、状況としては、元プロ野球選手で、それなりに活躍してたんだけど、投げたボールがバッターのこめかみに当たっちゃって再起不能にしてしまい、そっから段々自分も調子悪くなって、引退して、今は小さな、何でもやさん的な会社を立ち上げてやってるわけです。
んで、まあ、自分がやってしまったことが原因とはいえ、俺はこんなことしてる人間じゃねーとか、こんな仕事やってられるか、みたいなことを思って、くすぶるのは、わかる。収入も段違いでしょうし。だからそのことでいろいろグダグダ考えたり心の中で文句言ってたりしても、基本的には、いいんだけど。
2時間サッカーの試合を小学生と一緒に見るだけでで4万円もらえるというのに、その小学生がいわゆる子供らしい愛想もなく、自分のジョークに笑いもしない、ってだけで、腹が立つと。そもそもあんたのジョークが寒いんだって。それで笑ってたら、無邪気なんじゃなくて、気ー使ってるだけだよ。まぁ最終的に仲良くなったのはよかったですが。
んでまたある日は、脚立にのぼって雨樋を掃除するというお仕事に女の子と二人で出かけるんだけど、自分の手が震えちゃって脚立に上れないので、まあそのことは隠して、女の子に上ってもらうわけ。で、自分は、脚立の下のほうに腰掛けてぼけーっとしてたら、女の子が滑り落ちちゃって、押されて目の前の壁に顔をぶつけてしまったと。んで怒りでいっぱいになっちゃったらしいんだけど、人が脚立に上ってるときにそんな座り方してる人が悪いよね。普通、脚立を押さえるっていったら、人が落ちてこないように見ながら押さえるよね。。
そんな感じで、そりゃカチンとくるかもしれないけど、自分の反省とか相手にも事情があったよねとかいうのが全然ないっぽくって、なんかもうこの人とはあまりお近づきになりたくないって感じで読んでてこっちもイライラし、背表紙に書いてあった「ハートウォーミング・ストーリー」もどのへんであたたまればいいのかよくわからず、推理も、まあそういう考えもできるけど、それがあたってたんだね、ぐらいの感じで、たまに「あなたの人間性を見込んで」的な、なんか、根本的には人の気持ちがわかり洞察力のある人間ですよ的なことをいいたいのかな?みたいな空気も感じるんだけどあんま同意できず、というか、根本的に悪い人ではないんだろうけど表層的な部分が不快で、読む気が衰えていく一冊でした。
まあ状況がしんどいからしょうがないといえばしょうがないのかもしれないけどさぁ…しかしやっぱりフィクションで魅力のない人の話を読んでもね。
あ、でも、怪我させた相手との関係性の部分や野球への気持ちの部分は面白く読めました。でもそれで差し引き「この本読んでよかった!」というところまではいけてないかなぁ。
ちょっとネタバレ↓
ついに晴香ちゃんに「邪魔で一緒にいたくない」という理由で依頼人の家に泊まらされてしまった主人公ですが、依頼人もお金払った上に知らない無愛想な男を家に泊まらせるなんて相当心広いよね。。。一人暮らしの女性じゃなくてもっと別の人に頼めばよかったのに。そもそも、そこまでして人払いしなくても、自分が帳簿とか持って家に帰って作業すれば済む話だったのでは?それに主人公がいやな仕事断っちゃったりするとかいって、あとは晴香ちゃんひとりしか仕事してる人いないのに、3日も徹夜しないと片付かないほど経理のお仕事があるっていう状況もいまいちわかんなかった。会社がやっていけないほど財政的にやばい状況ともいってたのに、「先月から急に忙しくなって」って、どっちなんだっていう。2時間付き添いしただけで4万円なんだからそこまで安い金額でもないように思いますし。