13

13 (角川文庫)

13 (角川文庫)

これすっごく面白かった。
いい意味で、なに考えてんだろこの人っていう感じ。
スケールがでかいというか…
夢の中みたいにイメージがばーって広がる感じなんだけどきっちりしていて。
文章に読み応えがあって、すぐに入り込めるんだけど、そうすると予測しない方向に話がとんでって。
えっ?って思うんだけど、またそこにも入っていけるという…。
で、
明るい話だったのでよかったなと。
天才の話というと、その才能ゆえに周りを傷つけ、自分も孤独になって…っていう話が多いような気がしまして。
そんでもってこの話も最初のころは、主人公が凡人ぶる技なんて身につけてて、そっちの方向にいくのかと思っていて…でも理解者や応援してくれる環境があって、ポジティブな方向に進んでいって…だけど途中ですごく悲しい出来事がありまして、ああ、これで、心を閉ざしてしまうのかなと、しつこく思ったんだけども。
そんなことなくて。
ラスト、独りだけの作品を作るだけではなくて人との…コラボレーション?ができて、それがありつつ、自分の求めていくものみたいなのもあって。人とやるからって変に狭められたりすることもなく。その、自分のやっていくことっていうのも、うーん、なんというか、人とか世界に対して開いた感じのことで、それが、いいなぁと。
天才故の孤独…独りきりでも突き詰めていくぜ、な悪いというわけではなく、それはそれで惹かれるものがあるのですけど、(ルンルンな話ばかりではなかったけども。)この話の広くて開いた方向性が好きだなあということでした。