ソロモンの犬

ソロモンの犬 (文春文庫)

ソロモンの犬 (文春文庫)

おー 道尾さんの本の中ではかなり好き。文章が面白くて笑いながら読んでしまいました。面白くないとこが面白い的なとこもあったり、だったかな?(いつものように、読んでから結構経つのですでに記憶があいまい)
ただ主人公の行動とかどうなんだろと思うとこがあったり。
この「どうなんだろ感」はちょいちょい道尾さんの本の中で気になるところ。悪い意味で。
サクサク新作が出るしいろんな仕掛けがあったりして職人的にすごいなぁと思うんだけども、そういうところでなんだかなぁと思わされてしまい、人間を描きたいという(表現は正確ではないです)道尾さんの意欲とずれているというかまだまだ行きついていないなぁという感想で(やたら上から目線ですが…)、まだ大好きとまではいかない作家さんです。
以下ネタバレあり
例えば、学校の先生のお子さん(で主人公たちも知っている子)が亡くなって、その子のお通夜に行くときに、帰りに好きな女の子と食事でもいけたらなーと期待していつもより多めにお金を持っていく、とかね。そういうのがひっかかる。他の時にしなよと。普段は会えなくて今日しか機会がない!というわけでもなく、同じ学校でしょっちゅう会って会話してる子だというのに。目の前で事故で亡くなった子だというのに。こんなときにそんなこと考えてしまう俺、的な葛藤も特になく。
あと、先生に確かめたいことがあるからといって、バイク便のバイトの立場を利用して火葬場に出向くというところも。そんなところで「昨日(お子さんが事故にあってしまった騒ぎで)バイク便の荷物を届けられなくてすみませんでした」的なこと言われても。それどころじゃないでしょうに。
ラットマンとかも、大事な人が親しい人に殺されたはずなのになんか特に思い煩うこともなく未来に前進みたいな感じが気になったのよね。