帝都衛星軌道

帝都衛星軌道 (講談社文庫)

帝都衛星軌道 (講談社文庫)

なんかすごいタイトルです。
一番気になったのが、って、軽くネタバレなのかね、隠そう。。。
全体的には、面白くて先が気になってぐんぐん読めるけど、読み終わってみると、トリックとか色々、結構無理あるな〜って感じです。
「正直言って、自信作です。」ってコピーついてますが、もうちょっと練って欲しかったなと。
以下ネタバレです
 
 
 
 
 
 
とりあえず、話よりも先に、一番気になったのは天気予報。日ごろ、どうも天気予報当たらないな〜と感じているだけに。あんな天気予報可能なんですかい??それができるとしたらイベント会場なんかに売るだけじゃなくてみんな利用したいよね…。3:20から20分間雨降ります!だなんて、予報が見られたらすごくうれしいなぁ。
ま、それはさておき。
えーとどんな話でしたっけ。
タイトルがネタバレでしたーみたいな話でしたよね。
まず男の子が誘拐されて、
最初の謎、

  • 犯人の指示に従いトランシーバーを持って母親・美砂子が池袋から山手線に乗り込む
  • トランシーバーのスペックから考えて犯人は池袋からXkmの範囲にいるはず
  • ところが電車がその範囲を出ても犯人と母親の会話が続いている。何故だ?

は割とわかりやすい感じだったのに(東京の地理を知っている人ならってことですが)かなりひっぱりましたね。
私は東京では車に乗らないので道路は全然わかんないんですが、とりあえず、じゃあ犯人も山手線内にいるんじゃないの?って可能性はすぐに思いつきますよね。それを気づくまでも結構長いなと感じました。そんで真相のほうは、もう全然出てこない。んだけど、一人で考えてるわけじゃあるまいし、最初に電波範囲内の場所を特定するために地図を見たりもしているわけで、その中で誰もいつまでも思いつかないって、ちょっと無理あるんじゃないかなーって思いました。同じ電車にいるのでは?→前後の電車にいるのでは?→車で電車を追いかけるのは…無理か…いや…→!!!って感じでスムーズにたどり着きそうなもんだけど。
んで前編後編の間に中編「ジャングルの虫たち」。これがつながってるのかつながってないのかどうなんだろうって思いながら進みます。ここに出てくる登場人物の風貌と、本編?の誘拐された子供の父親の風貌の描写が似ているので、関係あるのかな?と思ったり、でもそしたら…うーん???みたいな。結局関係ないんですよね?山手線周りつながりなのかなとも思いましたがそういうことでもないですよね?
となると、誘拐の話のほうが本編であるとか、そのトリックや動機がメインであるとかではなくて、誘拐話とこの中編、2本で、東京の構造とか、東京という街、そこに住む人、を描写する、という本なのかな。で、両方に地下の通路が出てきて、2編を結んでいると。
後編で誘拐の犯人とその動機がわかります。犯人は、美砂子の昔の恋人の弟(ちょっとややこしいですが…)。美砂子に、兄の死刑判決を覆す証拠を出してほしくて、美砂子と接触するために、子供を誘拐したと。というのは3人殺した罪に問われているのですが、実はそのうち1人は美砂子が殺してるのね。これは発覚していないので時効。なので、兄を助けるために、その証拠(血しぶきがかかった寝巻き)を隠した場所を教えてくれということです。
で、これも無理あるなーと思うのが、なんとその寝巻きは、殺害現場の美砂子の実家の、庭に埋めてあったのね。こう、飛び石が何個かあって、その中の1つの下にかなり深く掘って埋めてあったと。庭だのおうちだのは警察に念入りに捜査されているはずなんだけど何故見つからなかったか?それは、飛び石はみんなかなり大きいものを埋めてあって普通ははがせない。その中でこの石だけ薄くてはがせるものであることを美砂子は知っていたと。かなり深く埋めたし、警察はこの石もはがせないと思っていたから見つからなかったと。そんなことあるでしょうか。埋める作業時間30分しかなかったんだし、そんだけ深く掘ったなら石の周りにもやわらかい土が残っていて気づかれたでしょうし、飛び石が何百個も何千個もあるならともかく、どうしても見つけたい証拠があるなら一応全部の石をひっくり返そうとしてみるくらいのことはやるでしょう。
あと、殺人の動機は結婚を反対されていたことなんだけども、それで姉と義理の兄に殴る蹴るの暴行を受けて恨みが募って…というのも、無理やり皆殺しの動機を作っているようでちょっとはてなでした。
で最後、実はあのとき首都高使ってたんですよというネタばらしから始まって、犯人が、タイトルでもある帝都衛星軌道なんかについて語るんですが、語りすぎ。笑。書きたいだけじゃろっていう。いや話の内容自体は興味深いんですけど。